この度、令和4年(2022年)9月3日(土)・4日(日)に、国際医療福祉大学(栃木県大田原市)にて日本吃音・流暢性障害学会第10回大会を開催いたします。10回目の大会となる本学会は吃音・流暢性障害に関わる当事者やご家族(以下、吃音当事者)、知人、保育園・幼稚園教諭、小学校通級指導教室、教育関係者、心理士、言語聴覚士、医師など、いわば多様な職種の方々が参加する大会であり、目指すところは吃音当事者の生活の質(QOL)向上にあります。近年、様々なメディアを通じて本領域への関心が高まっており、治療を求める声や相談・問い合わせも年々増えています。しかし、対応方法や受入れ可能な施設不足が現実問題となっている地域があることも事実です。
本大会では『豊かな想像力と多様性を拡げる社会』をテーマとしました。基本的な目標は、吃音・流暢性障害に関するこれまでの科学的研究や当事者による啓発活動をさらに推し進めることにありますが、そのためには、科学的研究の累積だけではなく、吃音当事者が自らの力で克服できるような環境(社会)が必要です。一人ひとりが意識的に豊かな想像力を働かせることによって、さまざまな捉え方や見方、考え方の多様性が拡がるのではないかと思います。それが浸透し人と人が互いに尊重し合うことで、医療・福祉・教育・就労・生涯学習といった分野での合理的な配慮や社会資源のシステム構築につながると信じています。
特別講演は吃音当事者でもある近藤雄生氏(ノンフィクションライター)にお願いしました。様々な文化や生活様式に触れてきた実体験に基づく多様な価値観や生き方から、参加者が個々に‟何か“を想像し、感じとって頂けたら幸いです。他にも発達性吃音への専門的介入、流暢性障害の多様性に基づく対応や心理・社会的支援、または吃音のある個人が自分らしく歩んでいける社会の在り方などに関する企画を検討しています。
開催は現地参加を前提としつつ、オンライン参加が可能な形態で準備を進めております。当大会開催趣旨をご理解頂き、多くの方々の参加を心よりお待ち申し上げます。
日本吃音・流暢性障害学会 第10回大会
大会長 前新 直志
国際医療福祉大学保健医療学部言語聴覚学科教授